もっと英語ができた方が楽しめたな，というのがEGOIで最初に思ったことです．EGOI2021はオンラインでの開催となり，元々予定されていたスイスへは残念ながら行けませんでしたが，その分オンラインでの国際交流がたくさん企画されていました．ですが，説明は全て英語です．周りの方々のお陰でどうにかなりましたが，英語ができればもっと積極的に交流できたかもしれないなと思っています．
　本題に入ります．１日目はその時できたことは結構やりきれたように感じています．特に１問目のZerosは初めは全く点が取れず，どうすれば良いかわからない状況だったのですが，途中で問題文の誤読に気づき満点を取ることができました．この時点ではギリギリ銅メダル圏内でした．
２日目は１日目と比べて悔いの残る結果となってしまいました．Shopping Feverは思いついた解法を，証明できていなかったにも関わらず正しいと思い込んでしまっていました．また，Railwayは満点解法の近くまで辿り着いてはいましたが，細かい部分の詰めが甘かったせいで点数を取りきれませんでした．これは単に実践練習不足だったなと反省しています．
　結果としてメダルに手は届きませんでしたが，それ以上に貴重な体験をさせて頂けました．最後に団長，副団長をはじめとする，この大会で関わった全ての方にこの場をお借りして感謝を申し上げます．本当にありがとうございました．

　Speaking of my experience in Tokyo, I'm excited to be a part of the first EGOI and this is my first time joining an international coding competition. I‘m privileged to have this opportunity to attend this significant event as a member of the Japanese team. Since I didn't grow up in Japan, it was challenging for me to deal with language comprehension, and it's also a chance for me to reflect on my coding skills. Thus, I will keep working on improving my language skills and C++ skills to achieve a better result next year.
　It was unfortunate that we couldn't go to Switzerland due to the pandemic, so we had the online contests in Tokyo. There are pros and cons to attending a virtual competition. Luckily, jet legs are no more an issue to us, and our safety was protected during the pandemic. Also, having this event online allows us to meet female programmers from all over the world effortlessly. However, I felt exhausted during the contest process, and it's difficult for us to join some interesting social activities because of the time zone.
　For the tasks, I felt extremely regretful for the tasks “Zeros” and “Luna likes love”. I made a few basic mistakes and had many misunderstandings on the language while finishing these tasks. “Twin Cookies'' was the most interesting problem I thought of in the whole contest. Since it was an interactive problem, and with a lot of random variables.

　オンライン開催で東京から参加しました．スイスに行けず，国際交流もあまりできなかったことがオンライン開催のよくなかった点だと思いました．しかし，おいしいお菓子が用意されたのがオンライン開催の良かった点だと思います．
　競技1日目は，食欲がなくて競技前の弁当を少ししか食べられませんでした．ですので頭がちゃんと動くか不安でしたが，思ったよりいい点数でした．2問目がBITを使う問題だったので，BITのコードを丸暗記していてよかったです．3問目は全く分からず，簡単な小課題1しか解けませんでした．スコアボードが出たときに34位で銀メダル圏内だったので嬉しかったです．
　競技2日目は，1・2問目がすぐに解法を思いつき，開始から1時間30分で2問を解きました．3問目は小課題1から解いていこうと思いましたが，小課題1の実装が面倒くさかったのと配点が7点だったので小課題2と小課題3を考え，提出して22＋16の38点を得ました．最終順位は1日目より1位下がった35位でしたが，2日目の順位は21位だったので嬉しかったです．
　今回EGOI2021に参加して，銀メダルという結果を残すことができ，楽しむことができたのでよかったです．次もあるので，次は金メダルを取れるようにこれからも日々精進していきたいです．

　私だけイギリスからの参加ということで日本情報オリンピック委員会の先生方，チューターさん，それからイギリスの先生方にいろいろサポートして頂きました．本当にありがとうございました．
　競技環境をうまく立ち上げられなかったりなど，大会の前はいろいろ不安な点はありましたが，大会当日は何事もなく試験に集中することが出来たので，よかったです．慣れた環境だったので，緊張せずに力を出すことができたと思います．
　1日目も2日目も４問中2問は実装にもそれほど時間が掛からずスムーズに解けましたが，残りの２問は難しかったです．特に2日目のAngry Cowsは壁の立て方の条件も多く，小問題の特徴も様々だったので何から考えたらいいか分からなかったです．
　大会期間中は他の用事と重なって日本チームの皆さんとも他国の選手ともあまり交流できませんでした．ですが競技1日目と2日目の間に，少しだけ他の選手とおしゃべりできたのは楽しかったです．他の選手が一緒にゲームをしたり写真を共有し合っている様子を見て，もっと交流したかったと思いました．将来，大学や研究などで今回のEGOIの選手と実際に会えたらいいなと思います．

役員の仕事について
　まず，今年の日本選手団の特徴は経験不足にありました．日本が EGOI に参加することが決まってから実際に派遣するまでの期間がとても短く，その間 JOI 入門講座 (女性限定) や春季ステップアップセミナー急ぎ実施してきましたが，とりわけ実戦経験の不足が課題でした．そこで，押さえておくべき知識や問題を紹介したり，本番と同じ5時間4問の練習セットを組んで提供したり，実際の競技システムを開放したりして，その分を補えるよう支援してきました．
　さて，EGOI 2021 も各国からの遠隔参加となり，当日は会場の確保や機材の準備が大きな課題となりました．特に EGOI では IOI と異なり非常に多くの国際交流イベントが計画的，突発的に実施されていたため，前日に選手の要望を聞き会場の調整を行いました．選手は楽しんでくれたようで良かったです．競技で使用するパソコンについても，事前に念入りな確認作業を行い，選手にも環境に慣れておくよう指導を行っていました．その甲斐もあって，当日のトラブルは最小限に抑えられました．
　個人的に，役員の最も重要な仕事の一つは写真速報だと考えています．写真速報は本会Webサイトに掲載しているコンテンツで，大会期間中なるべく毎日更新し，写真と文章で大会の様子をお伝えしてきました．選手にとって本大会は一生の思い出となります．それをしっかりと形に残し，皆さまとも共有することで，大会をより盛り上げていけると考えています．まだの方はぜひご覧ください．
　最後に，EGOI の運営の皆さまには競技の安定した実施や様々なイベントを企画頂いたのみならず，時差や日本語特有の翻訳の課題なども親身になってご対応いただきました．お礼申し上げます．

EGOI2021の競技問題について
　今回のEGOIは5時間で4問，問題は難易度順に並んでいる，標準入出力を用いる，Output Only Taskは出題されない，とIOIと異なる点がいくつかありました．問題については2日とも正統派の堅実な出題という印象で，幅広い典型的なアルゴリズムと確かな考察力を必要とし，非常にバランスの良い構成だったと思います．
　まずzerosは1日目でもっとも簡単でしたが，数学的な考察が必要で得意不得意の分かれる問題だった思います．luna, shopping, trainsはどれも考察を進めると典型的な形になり，実力が問われる問題でした．cookiesは唯一の特殊な形式の問題でしたが，合計が同じ2つのセットを作るという取り組みやすい設定だったと思います．cowsはグラフの問題で様々なアルゴリズムと，発想が必要な良問でした．各日の最後の問題であるlanternsとdouble moveはどちらも満点にたどり着くまでに何段階もの考察と閃きが必要な難問でした．
　日本代表選手は2人が銀メダルを獲得し．メダルが取れなかった2人も最後まで諦めずに得点して5時間戦い抜きました．初開催のEGOIに立派な結果を残してくれたと思います．

“女性”向けプログラミングコンテスト を終えて
　今回初めて，ヨーロッパ国際情報オリンピック（EGOI）という”女性”向け国際プログラミングコンテストが実施された．情報オリンピック世界大会（IOI）と同様のルールで，ヨーロッパ外の国も多く参加があること等から，実質，女子向けの国際情報オリンピックと位置づけられる．日本としては，従来女性向けに特化した取り組みは実施してこなかった．今年になりEGOI本部から，日本代表選手派遣の依頼を受け，急遽日本での女性向けコンテストを実施する運びとなった．
　EGOIは，利用されたシステムなどの違いがあるものの評価基準などはIOIとほぼ同様である．数理的な考え方を基礎とするプログラミング能力を競う点ではかわらない．なぜ女性向けコンテストとしなければならないかを考えてみる．
　現状，IOIに参加する女性の数はごく少数である．日本代表選手においても33年の歴史の中でIOIへ派遣された女性の代表選手はいない．日本の国内予選の参加者に限ってみても，参加者を男女の制限等はなく門戸は広くひらかれているにもかかわらず，女性の参加者が全体の１割である．つまり，女性向けコンテストとしない限り，世界大会に女性が選出されないのである．他国も同じような状況であろう．この現状を打破するために，EGOIのような女性のみを対象とするコンテストが作られたと思われる．
　なぜこういった状況になっているのだろうか．プログラミングそのものが男性に向いているという声もあるが，私はそうは考えない．極端な例を出すと，女性のほうが子育てや家事に向いていて，男性の方が一つの事柄をストイックに追求するような職人に向いている，という話がある．これをプログラミングに強引に当てはめてみると，汎用的でより広範囲に影響を与える条件を見いだす視野の広さや，網羅的に大きなシステムソースを把握しそのソースをマネージメントすること等は女性の方が向いていて，一方で，特別なアルゴリズムを追求し数学的に証明しながらプログラミングしていくことは男性が向いている，という可能性があると考える．この当てはめは強引すぎるかも知れないが，現状のIOIやEGOIでは，数学的な基礎からなるアルゴリズムの複雑性を問うような問題が多く出題されている．つまり，男性に有利なルールとなっているとも言える．
　プログラミングは，与えられた条件下で結果を算出するといった基礎的な考え方であって，新世代の社会生活を行う上で必要な基礎学力である．また，社会で複雑に絡み合ったITシステムはプログラミングなくては実現はできないし，今後，算数や国語と同様に教育カリキュラムにおいて当たり前のように勉強する学問になることは明白である．
　今後，新しい評価基準がみいだされることで，男性が強いコンテストと女性が強いコンテストとなってしまうほど多角的なコンテストが実施されることを望んでいる．EGOIは，男女を区別した上で実施しなければならない評価方法ではなく，現行のIOIとは違う方向性の評価基準を見いだすような発展をしてもらいたいと願っている．